あっという間に過ぎ去る時間のサービスの提供 ~ジャネの法則から~


時が経つのは早いですね。
年が明けたと思ったのも束の間で
気づけばもう3月も半ばです。

よく、『楽しい時間はあっという間に過ぎる』などと言いますが、
ホテルのサービス提供者を育成する者として
本当に「楽しい」が理由で時間が早く感じるのかな?と以前より少し疑問を持っていました。

もちろん「楽しいから」という要素も、もちろんそこにあってのことなのでしょうが、
そもそも時間が短く感じられるのは、実はその「楽しいの根底」に何かがあるからかもしれない
と思うようになってきていたので、
今日はそこを深堀りして、考えてみたいと思います。

 

そして、もしこれを紐解くことができれば、
「ホテルでのお客様の時間の楽しませ方、ともすればそのサービスの改善にも何らかのヒントを得られる」かもしれないと考えています。

 

ジャネの法則

 

『歳を重ねるごとに月日の流れを早く感じる』

楽しい時間以外にも、よく年齢を重ねるごとに時間の感覚が早まると言われますが、このことも関連して考えても良さそうです。

この年齢を重ねるごとに、時の流れを早く感じるようになるという考えは、
フランスの心理学者ジャネ(ジャネー)が脳への刺激が多いか少ないかで、時間の感じ方が変わると打ち立てた、「ジャネの法則」として知られています。

では、どのような時に「時間が長く感じられる」かというと、『脳への刺激が多い時』だそうです。
たとえば毎日のように新しい発見や学びがある子供にとってみれば、その一つ一つが強く意識に残るので時間を長く感じるそうです。
確かに、子供の頃の時間はそんなに早く過ぎ去ったという感覚がなかったのはそのためなのかもしれません。

反対に、経験をたくさん積んだ大人にとっては、どうしても子供に比べ新しい刺激は少なくなっていきます。そのため時の流れは早く感じられるというのです。

 

『ジャネの法則修正案』

私はこのジャネの法則を少し修正して以下のように考えてみました。

新しいものを受け入れる際の脳にかかるストレス(≠刺激)が多い時ほど時間が長く感じられ、
脳にストレスが少ない状態の時ほど時間が短く感じられる

これを以下のような誰しもが経験したことがあることに例えてみれば分かりやすいでしょうか。

初めて行った土地で地図を広げながら、
あっちかな、こっちかなと迷いながら目的地を探しながら歩いているときは、
それほど時計の針は進んでいないのに、気分的には長く(時間が)かかったように感じます。
しかし、その帰り道には(地図が見なくても、もう分かっている方角に進んでいくだけなので)、
脳にかかるストレスはなく、それほど時間は長くかかったように感じていないというものです。

 

楽しい時間とは

 
では、私たちにとって楽しい時間とはどんな状態にある時でしょうか。
 
それは
友人や家族、親しい人との時間であったり、
今まで積み重ねてきたこれまでの経験を分かち合える人との時間、
もしくは興味、経験、既知のことなどを深められる時間、
などといったものではないでしょうか。
 
これらから考えても楽しい時間とは
未知のものを受け入れる不安(Stress状態)がなく、
既知のものを深める安心(Non-Stress状態)の状態である
と考えられます。

 

 

あっという間に過ぎ去る時間のサービスとは

 
そんな風に色々考えているうちに、実はホテルですべきサービスは

「お客様への思い出作りをするよりも、思い出を深める時間を作るほうを大切にするほうが良い」かもしれない、
そのように思った次第です。

たとえば、結婚のアニバーサリー記念でホテルにお越しになられたお客様にどんなことをするでしょうか。

おそらく、結婚式当日の想い出がよみがえるようなサービスを提供し、
お客様に「あの時はこんなだったとか、どんなだったとか」を思い出しては懐かしんでもらえる演出をすることが多いように思います。

それはすごく喜ばれる時間、楽しく、あっと過ぎ去る時間になることでしょう。

 

 
お客様にとってあっという間に過ぎる時間を提供するために私たちが出来ること、
そして、いつの間にか時間がこんなにも経っていたと感じてもらえるように私たちが出来ること、
 
おそらくそのヒントがこのジャネの法則から見つけられたのではないか、
そんな気がしています。

 

 

ホスピタリティーホテル人材育成トレーニング

 

 

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