私たちの世界では、食料は豊富に生産されていますが、その恩恵を受けられない人々がいます。
国連の報告によれば、8億を超える人々が栄養不足に苦しんでいる一方で、私たちの生活の中には食べられる食品が無駄にされている現実があります。
特に先進国において、その対極にあるのが「贅沢」という概念です。贅沢が象徴される場所の一つがラグジュアリーホテルであり、豪華なサービスを提供する反面、無駄を生み出すことも避けられない現実があります。
本当に豊かな社会とは何なのか
持続可能な未来に向け、私たちが考えるべき課題について、ここで改めて問い直してみたいと思います。
世界では全ての人が食べるのに十分な食料が作られているにもかかわらず、世界人口の約11%に当たる8億1500万人(2016年国連WFP)もの人が、食料を十分に得ることが出来ず栄養不足の状態である。
一方、日本の食料自給率は38%(カロリーベース/2016年農林水産省)と、60%以上を外国からの輸入に頼っていながら、「食品ロス」(食べられるのに捨てられてしまう食品)が年間で646万トン(2015年度推計値/農林水産省・環境省)発生している。
※ 646万トンの食品ロスのうち、289万トンが一般家庭からのもの(2015年推計値・農林水産省・環境省)
贅沢と本当の豊かさ
ラグジュアリーホテルという料金さえ支払えば贅沢を体験できる空間自体が、無駄の多い場所と捉えられているかもしれません。
だからこそ、ラグジュアリー空間を提供するホテルこそ、この事実について真剣に受け止めており、
(例えば食品などに関していえば)仕入れなどの時点で廃棄ロスを減らす工夫など、真正面から取り組みをすすめているように思います。
ただ残念ながら、顧客とCSバランスを考えたとき、100パーセントこの無駄をなくすことは出来ていないことも事実であると、同時に受け止めています。
視点を変えてみる
(無駄をなくそうと、ロスを減らすことばかりに囚われすぎることで逆に満足度を損ねることもある)
高級ホテルであればあるほど、満足度は金額に伴って得られるということもあるでしょう。
しかし、人々が求めている本当の豊かさとは、実はお金を積めば何でも手に入るものではなく、「こころの豊かさ(Quality of Life)」ではないでしょうか。
高級ホテルを例にとると、顧客の多くはお金で買ったものではなく、「ヒトが提供する価値」を理解しており、それに共感出来るからこそ、豊かな気持ちへと心は満たされているのだと思います。
お客様に感じていただける価値を金額以上のもので提供できるようになれば(ホスピタリティレベルの向上により)、無駄をなくすことに近づけるはずだと考えています。
最後に
もったいない
話は変わりますが、食品ロスについて考えていたとき、環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性のワンガリ・マータイさんが「もったいない」という日本語を環境を守る世界共通語として「Mottainai」を広めることを提唱していたことを思い出しました。
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