• 月. 11月 18th, 2024

Columns on Hospitality & Talent Growth

ホテルコンサルティングのリロアズHTアソシエイツ

ホテルサービス お客様との距離のつめ方(ロビー)

出張や旅行の際、ホテル選びには誰しもこだわりがあるでしょう。料金や立地、口コミの評価などが決め手になることが多いですが、私の場合、職業柄、ホテルサービスの視察も目的の一つとして宿泊先を決定します。地方に行くことも多く、地域ごとのサービススタイルやトレンドの違いを肌で感じることは、非常に重要です。

今回は、ある地方都市のホテルに宿泊した際の体験をもとに、ホテルのサービスやその課題について考えてみたいと思います。

 

  地方ホテルの現場視察—ロビーの静寂に見たオペレーションの真価

 

職業柄、私は頻繁にホテルに泊まる機会があります。宿泊先を選ぶ際の基準は、少々料金が高くてもそのエリアでできるだけ高いランクのホテルを選び、口コミや評価点の高いところを優先しています。といっても都市部やリゾートエリアなどでない限り、地方での高級ホテルのニーズは高くないため、地方出張時は、ほぼ必然的に滞在先は決まってしまうのが現実ですが。

先日は浜松を訪れました。浜松は大阪から日帰りできる距離ではありますが、地方ならではの接客スタイルやサービスのトレンドを把握するために、可能な限り宿泊を行程に組み込むようにしています。今回宿泊したのは、開業から25年ほど経つ日系ブランドのホテル。若干の古さは感じるものの、空間は大手ホテルブランドらしく整備され、心地よく保たれていました。

ロビーに足を踏み入れた瞬間、まずその空間を確認します。バブル期に建てられた日系ホテルに特徴的な吹き抜けのデザインが印象的で、その豪華さに懐かしさを覚えます。利用客の好みも多様化しており、広々としたデザインを好む人もいれば、クラシックなスタイルやアーバン型のブティックホテルを好む人もいます。

 
ホテルオークラ浜松アクトシティ―
 

いつもなら、私はスタッフの動きやサービスを確認するため、駅近でもタクシーを使って正面玄関からホテルに入るようにしていますが、今回はホテルが駅と直結していたため、タクシーは利用しませんでした。到着したのは土曜日の21時。おそらくこの時刻だとロビーの流れはスローだと、到着前から予測していました。

予想通り他のお客様はほとんどおらず、フロントとロビースタッフも少数いるだけです。ここにおいては、さすが老舗ブランドのオペレーションで、スタッフのシフティングは非常にうまくコントロールされていることが分かりました。
よくあることですが、スローな時間帯ほど意外にもスタッフが気を抜いてしまう瞬間があるものです。そんなことを少し期待してしまいましたが、このホテルでは、経験豊富そうな男性スタッフが正面から入ってきた私にすぐ気づき、20メートルほどの距離を縮めて笑顔で迎えてくれました。彼の「荷物のスムーズな受け取り方」と「運び方」、「フロントまでの誘導」は経験値の高さを感じます。

ただ、ひとつ。
この7秒の間に、私が付け加えることが出来たとしたら、ゲストとの距離のつめかたです。それをもう少し「能動的な距離の詰め方」行うことが出来ていればさらに良かったと思います。(※もちろん、ここは瞬間的なものなので、プロフェッショナルなレベルでもアプローチのタイミングがずれてしまうことは、よくあることで、この時はたまたま積極的に距離を縮められなかったのかもしれません。)
もちろんマイナス点はなく、それが高いレベルであったことには変わりありません。

この「心地よい距離の縮め方」は、単に経験年数だけで高められるものではありません。
しかし、「それは個人レベルでの感性の問題だからみんなが出来るわけではない」と言う人もいますが、そんなことをいつまでも言い続けていても、チーム内の「接客レベルを改善すること」は出来ません。

ではそれはどうすれば良いかというと、
それは非常に簡単な事で、「相手の立ち位置を感じること」なのです。こちらに関してはまたあらためて続きの記事で書きたいと思います。

今回の宿泊では、スローな時間帯のロビーオペレーションを観察する機会となりましたが、できることならば、もっと忙しい時間帯のロビーコントロールを見てみたかったというのが正直なところです。

 

  最後に

 

ホテルのオペレーションは、時間帯や状況に応じて異なる顔を見せます。静かな時ほど、スタッフの集中力や対応力が試されるものですが、そこでこそ本当のサービスの質が問われるのです。今回の視察では、静寂の中でのスタッフの対応に感心しつつも、さらなる改善の余地も感じました。ホテル業界は常に変化し続けていますが、こうした細部にこそ宿泊者の満足度を高めるヒントが隠れているのではないでしょうか。

 

 

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