高級リゾート「バンヤンツリー」白馬進出に見る、地域観光とラグジュアリーブランド戦略の融合

シンガポール発祥のラグジュアリーホテルブランド「バンヤンツリー」が、2026年に長野県白馬村で開業を予定しています。このプロジェクトは、日本国内外からの注目を集め、ラグジュアリー市場の中でも「体験型リゾート」としての需要をいかに具現化できるかに焦点が当てられています。
バンヤンツリーは1994年、プーケット島に初のホテルを開業し、当時はアジア初の高級ヴィラリゾートとして話題になりました。
それからわずか30年でバンヤンツリーは世界各地のリゾートエリアに、50か所以上も拠点を展開し、急速にその数を増やしています。そして、2024年には京都やオーストラリア、ギリシャでも新規開業を控えるなど、ラグジュアリーホテルの象徴的な存在に成長していると言えるでしょう。
 
バンヤンツリー

 

 

 

地域観光資源を活かした白馬の可能性

 
今回の白馬プロジェクトは、日本の観光産業における地域創生の一環としても重要視されています。白馬村は長年スキーリゾートとして知られ、特に八方尾根スキー場には国内外からウィンタースポーツを楽しむ観光客が集まります。
バンヤンツリーが位置する敷地は約3万3000平方メートルで、客室数は100室前後と控えめであるものの、個々のゲストへの手厚いサービス提供が想定されており、バンヤンツリーのブランドにふさわしい「贅沢で特別な体験」を演出してくれることでしょう。
 
この土地は四季折々の自然が楽しめる環境に恵まれており、登山やトレッキングといった夏のアクティビティを提供することで、冬のスキーシーズンに限らず年間を通じて集客を図ることが可能です。

インバウンド戦略とグローバル展開のシナジー効果

 
またこの白馬への進出で特筆すべきは、バンヤンツリーがフランスの大手ホスピタリティ企業アコーと業務提携を結んでいる点です。アコーグループはソフィテルやノボテル、メルキュールといった世界的に知名度のあるホテルブランドを傘下に抱え、5000軒以上のホテルを展開しています。この提携により、アコーが保有する「オール・アコー・リブ・リミットレス(ALL)」というロイヤリティプログラムも利用可能となり、グローバルな顧客基盤を活かして日本国内に高所得層やロイヤリティの高い顧客層を呼び込むことが期待されます。
 
また、アコーとの提携による相乗効果は、経営面や集客面にとどまらず、スタッフ教育やオペレーションの効率化にも寄与するでしょう。こうしたグローバルな提携が持つ利点は、日本市場の活性化や観光地としてのブランド力強化にとっても貴重な機会となり得ます。

日本の観光業界に与える影響

 
単なるリゾートホテルの開業にとどまらない高いサービスレベルが問われている
白馬村はその豊かな自然美と文化的魅力から、国内外の観光客に長年支持されてきました。しかし、近年は急激なインバウンド増加によるホテル需要から、サービスレベルに大きく陰りが見えていると言わざるを得ません。それは、これまでの地域の観光資源をいかに活用して持続可能な発展を遂げるかだけでなく、単なる宿泊施設にとどまらないビジョンが求められているということです。
バンヤンツリーの進出は、白馬の自然環境と調和したエコリゾートのあり方を体現し、地域とともに成長する持続可能なリゾート運営を目指している点でも注目されています。
 
最上級のブランド力を誇るバンヤンツリーが白馬に根付くことで、日本の観光業界における新たなサービスの価値基準を生み出す可能性があります。地域経済の活性化に貢献し、自然を重視するリゾート運営のモデルケースとしても期待が集まりますね。
 

 
 

 

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