良いサービスがお客様にとっていつも良いサービスになるわけではない

先日、私の知り合いのコンサルタントから、とある関東の宿泊施設のコンサルティングを請け負っているが、より深い部分でホスピタリティの観点から専門のサポートとしてアシストしてほしいと依頼を受けました。
 
施設名は書けませんが、大きな庭園を有したリゾート型高級ホテルで、それは特に私が得意にしているサービスカテゴリーで、非常にポテンシャルの高い宿泊施設です。
 
某日、私はとある関東の新幹線の駅に到着しました。
新幹線の到着時刻を伝えていたため、駅を出るとすぐにホテルの方からお車でのお迎えがあり、さっそくこのクラスのホテルとしての特別な対応をいただきました。そして、その後も滞ることなく非常にスムーズな対応でお部屋まで通していただけるというサービスが受けられました。
 
しかし、この時点でもうすでにコンサルタントとして、すでに引っかかる点が感じておりました。
あまり多くは書くことは出来ませんが、決まってこのランクのホテルが悩む共通の部分でもありますので、本日はその点についてだけ書き留めておきたいと思います。
 
 

そのサービスが良いものであっても、お客様にとってはいつも良いサービスになるとは限らない

 
お客様はどのような施設を選び、どんな期待を寄せながらここに足を運んだのでしょうか
 
 
この時私がスタッフに伝えたかったこと
それは、
目を見張るようなクラシックで高級感のあるロビー、言葉を飲むような庭園があるにもかかわらず、
足を止めることもなく、スムーズにチェックインをしたことです。
 
施設の方にお話によると、5分以内のチェックインを目指しているということです。
 
では、「どうしてそんなにスムーズなチェックインをしたいと考えているのか」と質問をしたのですが、
「特にそれといった理由はなく、以前に委託していたコンサルティング会社がそうするようしたほうが良いとアドバイスをしてくれたから」だそうで、そのほうがゲストも「ストレス無く良いかな」と思っているとからなのだとか。
 
私にはそれが非常にもったいないと感じておりました。
 
もちろん、ビジネス利用が中心になる施設においては5分以内、もしくはそれ以内でのチェックインは必須になるかもしれません。しかし、高級な宿泊施設にくるお客様は、どのような目的で、どんな期待を持って、こちらに足を運んでくれたのでしょう。
 
ゆっくりと流れる時間を楽しみたい、
ホテルのサービスを愉しみたい、
ロビーから見える美しい施設やその庭園を楽しみたい、
など、色々な目的を持ってお越しいただいているお客様にとって部屋にスムーズに直行することにプライオリティが置かれてよいのでしょうか。
 
ただ部屋を提供するだけのホテルとは違い、それだけの価格に意味を持ってご滞在をいただいている、
そういった部分をしっかりと見つめなおしていただきたいのです。
 
そして
一般的に「良いサービス」と呼ばれるものが、ホスピタリティ業界にとってはむしろ本意でないことが往々にあります。
「これだ」というオペレーションの在り方ではなく、私たちにとって「顧客サービスとは何か」を見つめなおすことで、サービスクオリティは高められていきます。
 
 
先ほども述べたように、「顧客はどのような施設を選び、期待を寄せながらここに足を運んだのでしょうか」という点に意識を向けなければなりません。
もちろん、ただチェックインにやみくもに長い時間をかければよいという意味ではなく(もちろんスムーズにチェックインできる技術を持っておいた上で)
そこにどうやってチェックインのお客様を喜ばせるための時間を長く掴むことが出来るかということを知り、実践できるようにしていただきたいのです。
 
スムーズに決まったサービスを済ませるというのはオペレーションを行うスタッフにとってもわだかまりはありませんし、そのほうがサービスを提供する側として「楽」です。そしてスタッフ教育においても、答えが用意されていたほうがすごく簡単なのです。
 
しかし、そのホテル都合になりかねない「サービスの型」の提供ではなく、
お金を払ってお越しくださったお客様の本来の目的に沿った
『本当に喜ばれるサービスなのか』
『本当に正しいことなのか』
といった、自分がどれだけの付加価値を自信を持ってお客様に提供できるかを常に思い続けなければならないのです。
 
 
私がホテルコンサルティングをするにあたって、ホテルに伝えていることは「型」に縛られたサービス教育を行うことではなく、目の前にいるお客様が今どうしたいのかの気持ちを汲み取り、熱意をもって自ら考えて行動できる「こころ豊かな」人間形成を願って指導していくことが大切だということです。
 
技術面よりも、むしろ『個々の感性から生まれる価値の創造が出来るよう』になること
それは、私自身ホテルで働いていた頃からスタッフ指導にも携わってきて、特にこだわってきた部分でもありましたが、これはスタッフ教育をしていく中で最も難しい部分でもあるでしょう。
 
現在、コンサルティングやホテルスクールでこの部分について専念させられるようになって長年が経ちますが、ここ数年で多くのホテルやコンサルティング仲間から頼っていただけるようになったのを自身でも実感しており、ここにきて、やっとホテルで働くために相応しい人間力を高めるための環境づくりであったり、トレーニング方法であったりなど、効果的にお伝え出来るようになってきたように感じています。 
 
学校教育やコンサルティングを通して知り得たことやそこから培ってきた私の経験をこれからも多くの方に伝え、今後も日本のホテルサービスの発展に貢献できればと考えております。
 
 

 

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