「最後の授業」と聞けば、どうしてもドーデを思い起こしてしまいます。
最後というのは、ホテルスクールでの2015年度後期日程の最終授業でした。
そして来週はいよいよ期末試験。
ホテルスクールでは、インターナショナルホテルで通用するホテルマンの育成を図るための授業を受け持っており、学ぶ人は日本人だけでなく、多国籍。あえて日本に渡ってまでサービスを学ぶ学生の士気は非常に高いです。
もちろんのことながら、学校での授業は実際のホテルとは違い、限られたスペースと設備です。
そんな中でも講師として授業で一番大切にしているのは、ホテルマンとしてのテクニックや美しくスタイリッシュな型ではなく、
高いホスピタリティー精神。
リッツ・カールトンやセントレジスに在籍していた頃、おそらく100名を超えるスタッフを現場指導と通じて育成してきましたが、
多くのお客様からの信頼を得ることのできたスタッフ全員が接客経験豊富だったわけでも、
美しいサービスや身のこなしが出来ていたわけでも、
また接客マナーをしっかり身に着けていたというわけでもありませんでした。
もちろん、そういったことは接客するうえで大切なのかもしれません。
しかしながら、新人のホテルマンでも、お客様からの信頼を得るスタッフは実際に居ます。
そんな人たちに共通していることは、
「自然と相手の心に寄り添っている」こと。
どんなに美しいサービスでも、慇懃無礼であれば、目の前の相手に対する共感はありません。
お客様は美しいサービスよりも、ただそこにあるサービスしてくれる人の心を感じているだけなのです。
もちろん、プロの目から見れば、授業を受けたからと言って、彼らがすぐに実践に役立て、高いレベルで仕事ができるとは思いませんが、これから一流のホテルマンになっていくためには、何が最も大切なのかを授業を通して感じてくれたと信じています。
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