取り壊される前に、どうしても見ておきたかった場所。
宝塚ホテルです。
ホテルそのものは、2020年に宝塚大劇場横に移転が決まっていますが、
残念ながら、現在の建物は耐震性の問題から解体されてしまいます。
大正15年に古塚正治の設計で建てられたホテルは、さすがに90年を超える歴史ということもあり、
西洋を意識したこの時代の日本の建築は、今となってはとてもシンプルながらも、当時のモダンさをうかがい知ることが出来ます。
もともと宝塚は丘陵地のためだと思われますが、
最初に建てられた旧館部分と増築に増築を重ねて出来た館の至る箇所に段差が見受けられます。
しかしそれはデメリットではなく、宝塚大劇場のオフィシャルホテルとしての存在感をうまく表現しているかのようで、
その段差もステージに見立てているように思えてきます。
もちろん、ホテル内には、宝塚歌劇関連のものや、劇場を感じさせるような装飾も施されています。
そして、ホテルの中央にある中庭。
ヨーロッパの建造物にありそうな中庭が、ロの字型の建物に囲まれるようにあり
小さいながらもその存在感をアピールしています。
といっても、この中庭は開業当時にはなかったものだそうで、写真の左手に見えている扉は、増築前の正面玄関だった場所だそうです。
客室自体もそうですが、備品など細かな部分に目を向けても、さすが大正浪漫を謳うだけあり、当時のモダニズムを象徴していているかのようです。
このデュべやヘッドボードなどを見て、ふと思ったことですが、
阪急阪神第一ホテルグループの系列に属しているこのホテルが
その色合いに阪急電車の車体カラーであるマルーン色やその座席のゴールデンオリーブ色が使っているのでは?
などと、勝手な想像をしてしまいました。
実際のところはどうなのかは分かりませんが。
当時の最先端だったホテルは、スイートルームのツインベッドの横幅が1100サイズ(ダブルベッドでも1400)と少し小ぶりなものでしたが、
新築移転後には、最近の標準サイズとなるもう少し大きなものが入れられるのだろうと予想しています。
線路の向こうに見える宝塚大劇場の左手に、まだ黒いシートがかかった建設中の新ホテルが見えていました。
現在の建物がなくなってしまうのはとても寂しいですが、
移転後、どんなホテルになるのだろうと、それもとても楽しみにしています。
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