先日のことですが、私が教鞭を執っている専門学校から、
学校のパンフレット内に私の紹介記事を作りたいとのお話があり、学校広報の方と対談形式でインタビューをすることになりました。
インタビュー中に記録された内容を後日私にいただけたので、
せっかくなので話した内容(すべての内容はここに記せませんが)の一部を文字に起こし、残しておこうと思います。
インタビューの内容とは私が得意としているホスピタリティ教育の観点から述べたもの。
大まかには、「将来ホテルスタッフとして活躍する夢を持って入学してきた学生にどのように教育を行っていきたいか」
という私の理念を中心にお話しました。
これは学校のみならず、すでにホテルで活躍する人たちに向けても、どのようにスタッフ教育を行っていくと良いかという部分にもつながるかと思いますので、ホスピタリティを向上させていく上でのご参考になれば嬉しく思います。
ここからはインタビューのやり取りです
日常生活、学校での学習、指導方法についてお聞かせください。
幅広い専門知識と高度な判断力、及びコミュニケーション能力が求められるホテルの第一線でプロとして活躍していくためにも、単に学校だけでの知識を深めるに終わるのでなく、日常からいつも「良いもの」に触れてほしいと伝えています。
日頃から豊かな感覚を養っていくことで、その蓄えられた感性から、より高い価値の創造にもつながります。
学びの時間を多く持てる学生時代に、そういったものにたくさん触れてきた人たちと、そうでなかった人たちは、社会人としてスタートを切ったとたんにその差が出ており、特にホスピタリティの力の差は歴然です。
もちろんホテルに入ってからもそれは継続して行っていただきたいと思っています。
ホテル全般においての業務知識の習得と並行し、敬語や立ち居振る舞い、および顧客満足のためのホスピタリティーマインドの重要性を具体的な事例に沿って理解し、知識としてだけでなく、感覚による気付きをも高めていくことが出来るよう心掛けています。
しかしながら、この立ち居振る舞いという点においては、「お辞儀の角度」など、いわゆる一般的なマナー講習にある「型」の部分にフォーカスされがちですが、そういった内容は一切授業では教えていません。
(当然ながら学校サイドとしては一般的なマナー教育を講師に求める部分かもしれませんが…)
これは、例にとってみると、よく耳にする「謝罪の際のお辞儀の角度は45度」というものを考えれば分かりやすいでしょう。
本当に謝罪時のお辞儀は45度が一番いいのでしょうか?
私自身、年間1000件を超えるクレームを担当した経験もありますが、
「頭を深々と下げたというその行為」をしたから、お客様がお許しくださったというわけではありません。
(もちろん、その基本を伝えますが)そんなことよりも「どのように謝罪の意を表現すればいいだろうか」「もっといい方法はないだろうか」など、学生に自ら考えさせ、答えを出させるようにしています。
ホテル学校での学習には常に決まった答えがありません。
その人にとって一番いい方法はどれかを見つけさせることであり、それを実践でもうまく使えるように伝えていくことが大切だと思っています。
私自身、高級ホテルで、接客からクレーム担当、スタッフ教育など様々な経験をしてきましたが、そこで得た知識や経験を惜しみなく学生に伝えていきたいと思っています。それはサービスやマナーの教養だけにとどまらず、本来の接客業としてあるべき「感性」を伸ばすべく、学生指導に努めています。
なかでも私の授業は覚えさせることよりも、自ら考えて答えを自らの力で引き出させることを大切にしています。
そこでは自分とは異なった文化、生活、考え方といった「多様性」を柔軟に受け入れようとする姿勢、相手に対する尊敬の念を強く持たせており、そうすることで自然と相手の心に寄り添い、自らの直感を信じて行動できるホテルスタッフへと成長していっているように思います。
今後も、「こころ豊か」で「熱意をもって自ら考えて行動できる人間形成」を願って、今後も学生指導に力を入れていきたいと思っております。
【最後に】
いかがでしたでしょうか。ホテル学校で学生指導される方、ホテルの実際の現場でスタッフ教育をご担当されている方にもいろいろな方向性や理念もおありかと思いますが、こういった私なりの考えではありますが、一つの参考としてご覧いただければと思い、この度インタビュー内容を一部掲載いたしました。
私は学校での講師の仕事以外にも、様々なホテルでサービスのコンサルティングも行っておりますが、教育を行う側として、その方向性をしっかり定めておくことで、サービスパーソンに必要とされる「心の豊かさ」や「熱意をもって自ら行動できる人間形成」といった一つ一つの部分に大きく意味を持たせることが出来ると信じています。
私自身、ホテルという場所が単に「泊まる」という場所とは考えておりません。
そこはお泊りになるお客様にとっても、そこで働くスタッフにとっても、最高の価値を見出せる場所になってほしいと願っております。
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